注目情報

国内プロ野球 コラム ひろかずの球心を突く

第18回 落合監督の侘び寂び

 先週の話になってしまいますが、中日ドラゴンズが53年ぶりの日本一を成し遂げました! 最終戦は凄まじい試合でした。6年目の右腕、山井大介が、8回まで一人のランナーも許さないパーフェクトピッチング。そして、9回のマウンドに上がったのは守護神・岩瀬仁紀でした。この采配を見て、驚いた方も多かったと思います。しかし、これは何ら驚く采配ではありません。あの状況で、あれは当然の継投だったと私は思います。

 山井の継投については、豆ができたので降板を申し出た、という話も聞きますが、それでもあそこまで投げていたんですから、9回も投げきることはできたでしょう。しかし、仮に山井が万全の状態であったとしても、落合監督は岩瀬に代えていたでしょう。なぜなら、岩瀬は落合監督の就任と同時に本格的にクローザーに任命され、そのシーズンの序盤こそケガで離脱していましたが、以降4年間、落合監督の期待に応え続けてきた絶対的な守護神だからです。ルーキーイヤーから9年連続50試合以上登板、05年からは3年連続40セーブ以上を記録。これはいずれも日本記録です。

 対して山井は、今シーズンの成績が6勝4敗。去年はケガで棒に振りました。04年の日本シリーズでは、第4戦で6回無失点という好投を見せて一躍名を馳せましたが、それ以降は精彩を欠いていたと言われても仕方なかった。その山井が奮起して、あれほどのピッチングを見せたなら、最後まで行かせてあげたいと思うかもしれません。しかし落合監督にとって、中日にとって、岩瀬がこの4年間、いや、デビュー以来9年間見せてきた力投に報いてあげたい、という気持ちの方が強かったのでしょう。

 岩瀬にとっても、そうした落合監督の気持ち、そしてパーフェクトを目前にしながら岩瀬にマウンドを託した山井の気持ちがよくわかったでしょう。最終回、マウンドに上がった岩瀬の顔はいつになく強張っていました。そして、岩瀬らしい素晴らしいピッチング。落合監督も山井も、ホッと一安心したことでしょう。山井コールで溢れていたナゴヤドームも、いつしか岩瀬コールに変わっていく、そんなピッチングでした。この、満員のお客さんを岩瀬コールに変えていく辺りが、さすが岩瀬。役者だなァと……。

 日本シリーズで起用するというのは、一つはレギュラーシーズンで見せてきた活躍に対する、監督のご褒美のようなものでもあるんです。ワールドシリーズでもそうでした。レッドソックスのフランコーナ監督は、岡島が第3戦で3ランを浴びたにも関わらず、第4戦でも起用しました。結局岡島は、ここでも2ランを浴びてしまい、この一年を締めくくる上では残念な結果に終わってしまいましたけど、それもこれも全て、フランコーナ監督の岡島への信頼があったからなんです。岡島がいたからここまで来ることができた。だからここでも岡島を使う。それが信頼であり、ご褒美であり、選手にとっては最高に嬉しいことなんです。

 他にも色々な事情があるでしょう。第5戦、地元のナゴヤドームで日本一を決めたいとか、もう敵地には行きたくないとか、山井がヒットを打たれてからでは取り返しがつかないかもしれないとか、そういう事情です。勝つためには岩瀬だったという意見に、反対の人はいないでしょう。1-0であれ5-4であれ、1点差なら岩瀬、というのはわかりきっていることです。今回は、たまたま大記録がかかっていただけのこと。1点差の9回なんだから、投げるのは岩瀬しかいない。これも当然のことです。

 しかし、落合監督の中でそういう事情は数パーセントでしかなかっただろうと私は思います。90パーセント以上は、岩瀬に決めさせてやりたい、という心意気です。12球団の中で最も長く日本一から遠ざかっていた中日ドラゴンズにおいて、チームの歴史を振り返っても最高と言っていいクローザーに、最高の名誉を与えてあげたい。この心意気が、落合監督が厳しさの中に見せる優しさなんでしょう。こうした優しさ、心意気があるからこそ、日頃厳しい落合監督に選手もついてくるんです。まさにこれぞ、「オレ流」の真骨頂。落合采配の神髄だと感じました。

 落合監督が2回丸刈りにしたのも印象的でした。初めはレギュラーシーズンの最終戦、「必ず日本一を勝ち取る」とファンに誓った時です。そして2回目は、日本シリーズの直前。もともと落合監督は、クライマックスシリーズというシステムに反対でした。しかし、決まってしまった以上は仕方ない。セ・リーグ優勝を狙いましたけど、それも叶わず。それでも、その反対していたクライマックスシリーズによってチャンスが残ったからこそ、けじめの丸刈りに踏み切ったんです。必ず巨人を倒して日本シリーズに進み、53年ぶりの日本一を成し遂げるんだという決意表明です。日本シリーズの前に再び丸刈りにした時には、日本ハムのダルビッシュがそうした精神論は意に介さないというようなコメントを残しました。しかし、結局は落合監督の心意気が選手に伝播し、中日が日本一を勝ち取ったんです。日頃は冷静沈着で、精神論には頼らないような印象を持たれる落合監督ですが、時に見せる侘び、寂びが選手を奮起させたんでしょう。

 最後になりましたけど、落合監督、中日ドラゴンズ、そして日本一を待ちわびたファンの方々、53年ぶりの日本一おめでとうございます! 見事な落合采配に乾杯!

[PR] お役立ち情報

プロ野球 試合予定・速報

セリーグ公式戦 10月7日

ヤクルト 17-1 中 日
試合終了
横 浜 0-1 阪 神
ノーゲーム

パリーグ公式戦 10月7日

楽 天 1-0 ソフトバンク
試合終了

プロ野球 順位表

セ・リーグ 順位表 10月7日

  勝率
巨 人 140 81 56 3 .591 -
阪 神 140 81 56 3 .591 -
中 日 143 71 67 5 .514 10.5
広 島 144 69 70 5 .496 13
ヤクルト 140 64 72 4 .471 16.5
横 浜 139 45 92 2 .328 36

パ・リーグ 順位表 10月7日

  勝率
西 武 144 76 64 4 .543 -
オリックス 144 75 68 1 .524 2.5
日本ハム 144 73 69 2 .514 4
ロッテ 144 73 70 1 .510 4.5
楽 天 144 65 76 3 .461 11.5
ソフトバンク 144 64 77 3 .454 12.5

PR

このページ上に表示される記事内容、あるいはリンク先の記事内容はMSNおよびマイクロソフトの見解を反映するものではありません。