「ヤツらはもうゴミのような存在じゃない」
これは、ア・リーグで地区首位を走るチームのあるプレーヤーが、タンパベイ・レイズについて残した言葉だ。チームの好調さに加え、今月初めに敵地での王者ボストン・レッドソックス戦で大乱闘を演じたことが、「負け犬」という印象を完全に拭い去る要因になったと言ってもいい。
チーム創設以来、ア・リーグ東地区の最下位を「定位置」としていたレイズが、今シーズン予想外の快進撃を続けている。特に、ホームでは30勝13敗と非常に強く、4月下旬にレッドソックス、先週はシカゴ・カブスを相手に3連勝。単なる偶然の連続でなく、チームとして着実に実力をつけているという見方が、解説者たちにも定着しつつある。
レイズは2000年代に入り、カール・クロフォード、ロッコ・ボールデリの両外野手を軸に、若手を育てることに専念してきた。さらに、トレードでニューヨーク・メッツの有望株だった左腕スコット・キャズミア投手を獲得。昨オフにも、行動に問題のあったデルモン・ヤング外野手を放出し、ツインズから若手有望株マット・ガーザ投手を加えた。いまやエースに成長したキャズミアは、今季は故障で出遅れながらも6勝3敗、防御率2.03と安定感のある投球を続け、同い年のガーザも先発ローテに定着している。
先発投手陣は、昨年ブレイクした右腕ジェイムス・シールズの26歳が最年長と非常に若い一方で、リリーフ陣は30代のベテランが多い。通算300セーブ以上を誇るトロイ・パーシバル投手は故障でいったんは引退していたが、昨年セントルイス・カージナルスで奇跡的な復活を果たすと、今季は新天地レイズの抑えとして、すでに17セーブを記録。メジャー全体で6位というチーム防御率3.78という数字が、快進撃の要因となっているのは間違いない。
打線に目を向ければ、ボールデリこそ度重なる故障、そして病気に見舞われて長期欠場を強いられているが、デトロイト・タイガースなどで期待を裏切っていた未完の大器カルロス・ペーニャ一塁手が昨年46ホーマーを放つなど、長距離打者として計算できる存在に成長。23歳のB.J.アプトンが中堅手、2006年のドラフト1巡指名(全体3位)で獲得したエバン・ロンゴリアも三塁手に定着。岩村明憲はサードからセカンドへのコンバートを強いられたが、不安を感じせることのない安定した守備を見せている。
さらに、今季から経験豊富なベテラン、クリフ・フロイドが指名打者として加わったことで、今のレイズは非常にバランスの良い打線が構成できている。岩村とクロフォードの1、2番コンビは、出塁すると相手バッテリーにとって厄介な存在。2人に続くアプトン、エリック・ヒンスキー外野手、ロンゴリア、フロイドはいずれも35打点以上と、チャンスになれば誰かがそれを生かす環境ができている。死球を左手に受けて戦列を離れているペーニャが復帰すれば、打線はさらに迫力を増す。ジョー・マッドン監督の「今年はいいプレーをしているけど、同時に我々は多くの武器をそろえている」というコメントは、今のチームをまさに象徴している。
今季ワーストの借金3を背負っていたのが4月20日。しかし、これ以降の成績が36勝20敗、貯金16という事実からすれば、レイズは今やメジャーリーグで最もホットなチームと言っていい。6月21日のヒューストン・アストロズ戦では、9回裏に2点を奪ってサヨナラ勝ち。8回終了時でリードされた試合では、これが今季初の逆転勝利だったが、接戦に持ち込めば常に勝つチャンスがあるという自信が、チーム全体に浸透しているのは確かだ。
他球団のGMに当たる役割を担うアンドルー・フリードマン上級副社長は、2005年オフに現職となって以来、素晴らしい仕事をしている。年俸総額はメジャー全体で29番目の約4342万ドル(約46億7000万円)ながら、将来性のある若手を獲得するだけでなく、パーシバルのようなベテランを加えることで、経験不足をカバーできる体制を作った。
「プレーヤーの能力ということでは、(強豪チームと)大きな差はない」
現在の戦いぶりは、フリードマンのこの言葉が正しいことを証明している。経験値で劣る若い先発投手陣が、夏場に不振に陥ることを回避できれば、球団史上初のポストシーズン進出という快挙も現実味を帯びてくるだろう。
※成績、年齢は現地22日時点のもの
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もう負け犬とは呼ばせない! レイズの快進撃は続く
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