日本人メジャーリーガーの活躍を応援し、メジャーをさらに楽しむためのコラム「日本人メジャーリーガー応援宣言!」。第8回は、連勝街道をまい進する松坂大輔投手(ボストン・レッドソックス)をはじめ、松井秀喜外野手(ニューヨーク・ヤンキース)など好調な選手たちが、4月の月間最優秀選手などの個人タイトルを獲得できるかどうか、検討してみることにしよう。
4連勝スタートも、投球内容は不満の松坂
メジャーリーグについて、学術的な研究活動を行っている「ベースボール・カレッジ」では、2008年度の授業が行われている。個人タイトルについて研究している「タイトル教授」の研究室では、日本人選手の活躍で熱気溢れる講義が行われているようだ。
タイトル教授「諸君! 今年のメジャーも、開幕して3週間が過ぎた。早速だが、今年のMVPは誰が受賞するのか、誰か分析してみたまえ」
トミー(学生)「教授、それは気が早すぎるのでは…。まだ始まったばかりですからね」
タイトル教授「君は勉強が足らんようだね! メジャーリーグのレギュラーシーズンは、わずか半年間しかないのだ。今からしっかり研究しておかないと、夏場になってから慌てて準備してももう手遅れなのだよ。私の頭脳には、過去50年間のタイトル獲得者リストが全て詰め込まれておる」
ジャマール(学生)「ア・リーグのMVPは、今年も『A-ROD』(アレックス・ロドリゲス三塁手=ヤンキース)が獲得することでしょう。あのけた外れのパワーは、今年も健在です」
タイトル教授「まあ、当たり前の意見だな。ではサイヤング賞や最多勝など、投手部門の個人タイトルはどうかね」
エリカ(学生)「教授、ア・リーグでは『Dice-K』が、最多勝投手の有力候補だと思います。すでに4勝をマークしておりますからね」
松坂は、記録の上では確かに上々の滑り出しを見せている。4月13日の対ヤンキース戦では今季3勝目をマークすると、18日にはテキサス・レンジャーズ戦に先発。5回1/3を投げて3失点の内容で、負け知らずの4連勝を記録したのだ。ルーキーシーズンだった2007年は、4勝目を挙げたのが5月9日のトロント・ブルージェイズ戦だったから、昨年より3週間も早い。4月はあと2度先発登板が予定されているから、残りの試合にも勝てば6戦全勝と言うことになる。こうなれば、4月のア・リーグ月間最優秀投手に選出される可能性は高い。ちなみに、昨年4月の同部門はロイ・ハラデイ投手(トロント・ブルージェイズ)が受賞したが、4勝負けなし、防御率2.28という内容だった。またナ・リーグではジョン・メイン投手(ニューヨーク・メッツ)が同じく4勝0敗、防御率1.35の内容で選出されている。勝ち星だけならば、現在メジャートップタイの松坂はすでに「当確圏内」に達しているのである。
ただ投球内容を見てみると、松坂のピッチングが「最優秀」かどうか、大いに疑問符が付く。13日のヤンキース戦では松井秀にツーベースを許すなど、5回を投げて5安打4失点。課題の制球難を克服できず、合計6個のフォアボールをヤンキース打線に許すお粗末な内容のピッチングだった。本来なら、負け投手になってもおかしくない乱調ぶりなのに、打線の援護で勝ち星が転がり込んだようなものだった。また18日のゲームでもコントロール不足は解消されず、6回途中で投球数が100球に達して降板。攻撃陣のサポートを受けてこの日も勝ち投手にはなったものの、勝ち投手だと胸を張れるような投球は見られなかった。この調子では、たとえタイトルを受賞しても、松坂本人は憮然とした表情を浮かべながら表彰される…ということになりかねない。残りの登板では、成績に見合った内容のピッチングを見せて欲しいものだ。
デッドボールも跳ね返す? 好調ゴジラの逆襲
タイトル教授「『Dice-K』には、2年目のジンクスを吹き飛ばす活躍が期待されるな。ところで、『ゴジラ』はどうなんだ? なかなか好調な滑り出しじゃないか」
ジャマール「はい教授、今年のマツイは一味違いますよ。本塁打こそ3本にとどまっておりますが、シュアなバッティングでチームに貢献しています。開幕時は下位打線を打っておりましたが、今では中軸に復帰しました」
スタメンの座が保障されず、8番指名打者と以前では考えられない苦しいスタートとなった松井秀。だが、いざふたを開けてみれば、不調に苦しむ打線にあって松井のバットは輝きを増している。4月20日のボルティモア・オリオールズ戦では、あわや本塁打かという大きな当たりのタイムリー二塁打を放ち、チームの連敗脱出に貢献。ここまで打率.323、3本塁打、9打点と、素晴らしい成績で首脳陣の期待にしっかりと応えている。
しかし18日の同カードでは、松井に思わぬ「災難」が降りかかった。オリオールズ先発のダニエル・カブレラ投手から、2つのデッドボールをぶつけられたのだ。どちらも時速150キロを超えるストレートであり、特に2個目の死球は、危うく「急所」に命中しかねない危険な一撃。新婚ホヤホヤの松井にとっては、自分のことだけでは済まされない危険な出来事であった。同じころ、訪米中のローマ法王、ベネディクト16世がニューヨークを訪問。ヤンキー・スタジアムに6万人を集めるミサを行い、世界の平和を説いた。だが松井には、思わぬ天からの試練? が降り注いできたことになる。それでも心身共に充実している今のゴジラは、この試練を難なくクリアしたようだ。
では、松井の月間MVP獲得の可能性はどうだろうか。昨年の7月に同タイトルを受賞した際は、打率.345、13本塁打、28打点の大活躍だった。しかし今のところ、今季の松井がホームランを放ったのはタンパベイ・デビルレイズ戦だけ。「伝統の一戦」であるレッドソックス戦をはじめとした他のカードでは、今季まだ一発が出ていない。打率はともかく他の部門の成績を見る限りでは、現時点では月間MVPは「圏外」と見るべきだろう。ただ20日のゲームでは、主砲のロドリゲスが試合中に足を痛めるアクシデントが発生した。ヤンキースは22日から、ア・リーグ中地区の首位を快走するシカゴ・ホワイトソックスと敵地で対戦したあと、昨年のプレーオフで敗れた因縁の相手、クリーブランド・インディアンスとの4連戦が予定されている。先発投手陣が不調のヤンキースには苦しいロードが続くが、松井の豪快なアーチで味方に白星をもたらして、自身にも再び月間MVPを取るくらいの活躍を見せて欲しいものだ。
「春の新人王」福留のライバルは?
タイトル教授「さて、ルーキーたちの活躍はどうかね? フクドメは、開幕からの好調をキープしているかな」
エリカ「開幕戦のような派手な活躍を続けるのは難しいですけど、メジャー1年目の選手としては十分、合格点の挙げられるプレーをしていると思いますよ」
好調が続いていた福留も、一時は勢いが止まったかに見えたが、4月15、16日の対シンシナティ・レッズ戦では連続マルチ安打を記録するなど、深刻なスランプにはまだ陥っていない。ただ、本人にとってはまだまだ満足できる内容のバッティングができていない。また右まぶたの上には腫れ物ができて、20日の対ピッツバーグ・パイレーツ戦は欠場に追い込まれてしまった。チームは大勝して福留不在の影響を感じさせなかったが、彼の活躍を見たくて球場に来たファンには、やはり寂しい一日となってしまった感は否めない。ナ・リーグ中地区の首位を走るカブスは、21日からニューヨーク・メッツを本拠地リグレー・フィールドに迎えて2連戦を戦う。まだまだ気が早い話だが、10月のポストシーズンでは顔をあわせる可能性もあるメッツを相手の「仮想プレーオフ」。福留にとっては、強敵メッツの投手陣をしっかりたたいて、再び上昇気流に乗っていきたいところだ。
さて、この福留が4月のナ・リーグ最優秀新人賞を受賞する可能性はどうだろうか。16日付の米国のスポーツ専門紙『スポーツ・ウィークリー』では、今年デビューを果たしたルーキーたちを紹介。福留も黒田博樹投手(ロサンゼルス・ドジャース)と共に、日本から来た新人選手として名前が挙げられていた。またドジャースでデビューを果たしたブレイク・デウィット三塁手や、レッズのジョニー・クエト投手らの有望選手もリストアップされているが、それ以外にも福留のチームメイトであるカブスのジョバニー・ソト捕手が、打撃好調をキープしている。既に3本塁打、10打点をマークしているジョーイ・ボット一塁手(シンシナティ・レッズ)も、面白い存在になりそうだ。
福留とソトの二人は、今年度のナ・リーグ新人王争いでも上位に顔を出しそうだが、カブスで同タイトルを獲得した選手はその後事故死したり、ケリー・ウッド投手のように怪我に悩まされるなど、新人王獲得は不吉だ、と見る向きもある。とはいえ、昨年は岡島秀樹投手(レッドソックス)が4月の同賞を受賞するなど、ルーキーと言いながら経験豊富な日本人選手にとっては、春の「新人王」受賞は決して難しい話ではない。ここは不吉なジンクスなど気にせず、開幕戦のような活躍を見せて、「新人王」関連のタイトルは総なめにしていきたいものだ。
注目情報
メジャーリーグ コラム 日本人メジャーリーガー応援宣言!

開幕から3週間、松坂と松井秀は月間MVP受賞なるか
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