最後に残った4強は、東芝・トヨタ自動車・ヤマハ発動機・サントリー。この4チームで、トーナメント方式でマイクロソフトカップが争われる。
ここ最近のトップリーグでプレーするチームは、試合を重ねるごとに意思統一がなされ、チーム力が高くなるチームが多い。そのため、トップリーグでの戦績は今やあまり参考にならない。どのチームも修正能力が高くなってきたので、前の対戦で使用したシステムなどは、あまり通用しないケースが増えてきたからだ。
今回のマイクロソフトカップも、正直に言ってどこのチームが勝つということを予想するのは困難だった。
セミファイナル(花園)での対戦は、ヤマハ発動機vsサントリー。
トップリーグでの対戦では、僅か1点差で勝利したヤマハ発動機。一方、敗れたサントリーはこの敗戦は必要な負けであった、「ネセサリーロス」であったと唱え、成長過程で必要な教訓として、日々練習に励んできた。ヤマハ発動機に対するリベンジを懸けた戦いの結果など、本当に予想できない。
案の定、試合が終わってみれば、今度はサントリーが、ヤマハに40-39の1点差で勝利を手にする展開。試合会場の花園ラグビー場を多いに盛り上げた試合になった。
この試合においは、ヤマハ発動機にシンビンの選手が出たことで、選手を交代させるタイミングに微妙に変化が生じた。そのために、ゲームプラン通りの組み立てが出来なかった不運もあったが、後半29分からの反撃は見事なものだった。この対戦カードは、次の日本選手権でもう一度対戦する機会がある。実現すれば、手に汗握る接戦を繰り広げてくれるゲーム展開になりそうなので、とても楽しみだ。現在1勝1敗と星の数は同じなので、決着がつく形。注目の対戦カードだ。
セミファイナルのもう1試合(秩父宮)は、東芝vsトヨタ自動車。
この試合は、トップリーグで対戦した時よりも、トヨタ自動車が東芝とのチーム力の差を少し埋めて、自信を付けることができたのではないかと感じる試合だった。特にモールの部分では、東芝のモールと互角に渡り合う場面もあり、今後の自信になったことは間違いない。試合は、38-33で東芝が、途中で7点差に詰められる場面もあったが、直ぐに点を取り返す試合運びができて、トヨタ自動車に勢いを与えず、危なげなく勝利した。
これによって、ファイナル(秩父宮)は、東芝vsサントリーの2度目の対戦が決定した。
トップリーグでの対戦後、インタビューに答える清宮監督は「今季は、東芝とは3回対戦する予定ですから」と発言していた。その言葉通りに、このマイクロソフトカップのファイナルが、今季の対戦2回目の舞台となった。
ストーリー性を重視する清宮監督は、トップリーグでは10-12で負けたが、残りの2試合に勝てばいいというシナリオを用意している。当然、見る者の関心は高まる。そんな中で、迎えたマイクロソフトカップ・ファイナル。晴天にも恵まれて、ラグビーを観戦するには申し分ない環境だった。
秩父宮ラグビー場が満員になったのを久しぶりに見ると、うれしくなった。恐らく、ラグビー関係者は同じ気持ちになっただろう。両チーム選手が、内に闘志を秘めてグランドのピッチに上がってくる。選手は全員、緊張した表情を浮かべ、その緊張感が我々にも伝わる。これから起こる肉体と肉体の衝突を考えると、当然だ。
試合は、風下に立つサントリーが効果的に主導権を握り試合を運ぶ、ウイング栗原が先制のトライをあげると、東芝のセンターマクラウドがお返しのトライで同点に追い付いたところで前半を終了。風上でこの結果は、東芝にとっては後半に不安を抱える内容だった。サントリーが優位に立てた要因は、ラインアウトをコントロールできたことが大きかった。
後半に入ると、セットプレーで劣勢かと思われた東芝が、ブレイクダウンで体を張った激しいプレーで奮闘を見せる。特に後半18分にバツベイをシンビンで欠いてからの攻防は熾烈を極めた。東芝7人のフォワードに、襲い掛かるサントリーのフォワード陣。お互いの意地がぶつかった。
サントリーのフォワードに対するプランは、「押さずして勝利はいらない」である。清宮監督らしい、決断である。真っ向勝負を挑むことを選択したのである。それを迎え撃つ7人になった東芝フォワード陣の奮闘は見事であった。臆することなく、低くサントリー選手に体を当てていく。東芝の選手たちに迷いはなかった。迷いのない東芝は、ディフェンスなのに勢いよく飛び出していき、逆にサントリーの選手にプレッシャーをかける。この勢いにサントリーの選手が躊躇する場面も見られて、効果的な攻撃が仕掛けられない。結局、人数で1人上回るサントリーが攻めきれずに得点をあげることができないまま、バツベイ選手の復帰を許してしまう。
今、思えばこの攻防戦が、運命を決したターニングポイントであった。迷いのない東芝に対して、対象的にサントリーにこんなエピソードがあったので紹介したい。
試合後のインタビューで、小野澤キャプテンが残り10分のプレー選択に迷いがあったと発言した。3点リードでもらった東芝陣地でのペナルティー。ペナルティーの3点を追加しても、6点差。1トライ1ゴールで逆転されるという場面に、タッチに蹴ってマイボールラインアウトからモールで攻めることも考えたが、6点差にしておけば真ん中にトライされない限り大丈夫だという判断をした。
この6点差になったことが、東芝の選手たちの気持ちを一つにした。1トライ1ゴールをしなければ、逆転はない。その現実が彼らを開き直らせ、怒涛の攻めに繋げるのである。
東芝は、上手くコントロールしながら、サントリー陣の深くに攻め込む。そして意図的にボールをグランドの中央部分に集める行動に出た。真ん中にトライすることで、その後のゴールキックをより確実なものにしようとしたからだ。最後の1プレー。プレーが切れればノーサイドという場面に、ミスも起こるが大勢に影響はなく、逆転に繋がるトライを奪ったのは、バツベイ選手であった。
勝負のアヤだから仕方がないのだけれど、バツベイ選手がシンビンで10分間退場しているときに、サントリーは得点することができなかった。しかし、東芝はバツベイ選手が復帰して、決勝のトライを決める。なんとも皮肉な一連の流れである。最終スコアは、14-13で東芝の勝利。
この試合、東芝は負けてもおかしくない場面が、いくつもあった。しかし、その危機を乗り越えることができた、いちばんの要因は、キャプテンである富岡選手の存在である。彼のキャプテンシーは、本当に素晴らしかった。この接戦のハードな試合を、精神的にもきつい試合を、チームを一つに纏め上げて、決してあきらめずに、戦う姿勢を先頭に立って見せてくれた。その姿は、大変好感が持てる。本当に称賛に値する。もっと大きく評価されてしかるべきだ。
トップリーグ開幕からの今季全体を振り返ると、日本のラグビーはレベルが向上してきたと感じる。近年の上位チームの試合は接戦になる試合が多く、国内リーグで切磋琢磨ができる環境が整ってきた。トップリーグを開催することで、日本代表の強化に繋げていきたいと開幕当初に語られていた通り、そのベースは確実にできあがってきた。後はそこで得た経験を集団の経験知として普及・育成に役立て、強化に上手く繋げることができれば、日本代表はもっと強くなるはずだ。
そのためマイクロソフトカップのように上位チームを集めてプレーオフをすることで、レベルの高い試合を経験することができる舞台を持っていることは、これからの日本ラグビーの強化に大きな意味がある。レベルが向上して、質の高い試合ができるようになると人々の注目も自然に集まる。人の注目度が高くなれば、人が集まる。さらに盛り上がる。これからの日本ラグビー強化を考えると、上記の内容はラグビーの強化はもちろんのこと、普及していくことにも同時に取り組んでいかなくてならない。今後も、このマイクロソフトカップが、継続して行われることを期待したい。
今回のコラムで最後になりますが、読んでいただいた読者の方々、本当にありがとうございました。
なお、関係者にも、この場を借りて感謝の意を表明したいと思います。誠に、ありがとうございました。
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更新 11月16日 20:34
第7節 スケジュール・結果
11/29(土) 13:00 @ ヤマハ
11/29(土) 14:00 @ 秩父宮
11/29(土) 14:00 @コカ・ウエスト
11/30(日) 12:00 @ かきどまり
11/30(日) 13:00 @ 長良川
11/30(日) 13:00 @ 桃太郎
11/30(日) 14:00 @ かきどまり
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